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歴史的な建物・大江能楽堂で実施の『伝説のコメディエンヌ 喜劇の女王 メーベル・ノーマンド Part1』で時を越えた「笑い」を共有!

2017年10月14日(土) レポート

10月14日(土)、明治時代の様式を残した創建100年越えの歴史ある大江能楽堂で「サイレント/クラシック映画」部門のプログラム『伝説のコメディエンヌ 喜劇の女王 メーベル・ノーマンド Part1』が上映されました。1910年代、サイレント映画全盛期を代表するコメディエンヌのひとり、メーベル・ノーマンドを大特集したものです。

スタート時間となり本舞台へと歩みを進めてきたのは、MCを担当するザ・プラン9のお〜い!久馬。本舞台のセンターへ到着すると、能楽堂のクラシックな雰囲気に呑まれたのか「上品なとこで」とぽつり。そして、自分の足元へ話題を変えると「白い靴下じゃないとダメということで履き替えました」と説明。能楽堂へ入る際は、白足袋もしくは白靴下でという決まりがあるのです。「ということは、ルーズソックスでもいいんですかね? 白いパンストはどうでしょう?」と久馬は答えの出ないトピックを経て、クラシック喜劇研究家・いいをじゅんこさん、活動弁士・澤登翠さん、ピアノ演奏家・柳下美恵さんを舞台へと招き入れます。

作品の上映を前に、まずはいいをさんから、メーベル・ノーマンドについての解説を。絵のモデルをしていたが、撮影所を訪れた際に見初められ演技経験なしで映画出演を果たしたラッキーガールで「当時はスーパースターだったんです」とアイドル的な人気を誇ったコメディ女優だったとのこと。いいをさんはメーベルの魅力を「画面に出てくるだけで明るくなるし、ドタバタコメディを嫌がらずにやる」と評しました。活動弁士・澤登さんも「表情や仕草がとってもキュート。目に特徴があって、動きが豊か」とメーベル情報をプラスしました。

「今日観るの? いつ観るの? 今でしょう」という久馬の呼びかけを合図に上映の時へと移ります。上映されたのは、1本目は「コメディ映画専門だったキーストン社の代表格」(いいを)の『恋は泥沼』(1913年)、2本目はチーズの臭いを「笑い」の題材にした『強敵』(1913年)。そして3本目のタイトル『デブと海嘯(ファッティとメーベルの漂流)』を聞いた久馬は「ウソみたいなタイトルですね。歌のタイトルみたい」とユニークなセンスにビックリ。いいをさんも笑みを浮かべ同意しながら、「主演男優のロスコー・アーバックルとメーベルは、“コメディ界の名コンビ”と呼ばれ、その中でもベストと言われる作品です」と紹介してくれました。最初にいいをさんが話されたように、メーベルは顔にパイを投げつけられたり、泥沼にも臆せず身を突っ込んでいったりと果敢に挑戦しています。その度に場内ではどっと声が上がり、1910年代から時を超えて「笑い」が届けられていました。


上映中は活動弁士・澤登さんが映像に合わせてセリフを読み上げ、柳下さんが「即興で、この場の雰囲気に合わせて」ピアノ演奏で作品の世界観を盛り上げます。久馬は「画面を見ながら、(手元の原稿をほとんど目にせず)パッとセリフを言っている感じですね」と澤登さんの熱演ぶりを称えます。「アドリブも入っています。映画が好きなんで」とにっこり返す澤登さん。スクリーンを見据え、すらすらとセリフを乗せていくその姿は圧巻です。

すべての上映を終えた澤登さんは、「活弁大好きで3歳の頃からやっているんですけど、まだまだ難しいところもあって。精進します」と今日のでき上がりを自己採点。柳下さんは「出演者の方、観客のみなさんと一緒になってできたので楽しかった」と空間を共有をできた喜びを、いいをさんは「メーベル・ノーマンの魅力を分かち合えてうれしかったです」と感想を述べられました。

#京都国際映画祭 #ザ・プラン9お〜い!久馬

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