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奥山和由さん、春日太一さん、五社巴さん、友近が五社英雄監督作品の魅力を語る!『鬼龍院花子の生涯』上映後にトークイベント

2017年10月14日(土) レポート

10月14日(土)、よしもと祇園花月にて、五社英雄特集『鬼龍院花子の生涯』が上映され、終映後のトークイベントにプロデューサーの奥山和由さん、日本映画史・時代劇研究家の春日太一さん、五社プロダクション代表の五社巴さん、友近が出席しました。

奥山さんは、開口一番「フィルムに傷が多くて残念。いま現存しているのがこれ1本なんです」。すると春日さんが、「次の機会には、ニュープリントしてもらえれば大きな話題になると思います」と、早くも未来の映画祭に向けリクエストを送ります。

1982年の公開当時、大ヒットを記録し、五社英雄監督の代表作のひとつに数えられる本作。夏目雅子さんが本格女優としてブレイクした作品でもあり、「この1本で“女優”になってみせる、という思いが伝わってくる」と奥山さん。ここから、ある時、五社監督に呼ばれ「見せたいものがある」と夏目さんが亡くなる数週間前の写真を差し出された話や、どれほど夏目さんがこの役に懸けていたかなど、さっそくさまざまなエピソードが飛び出します。

奥山さんは「リアルタイムで『鬼龍院花子の生涯』を見た時は、すごくモダンに感じた。しかし時代が流れてみると、仲代さんの芝居とかの感じ方は変わってきた。変わらないのは、夏目雅子さんの横顔の美しさ」とも。これには春日さんも同意し、「よく、あの瞬間、瞬間を逃さずに撮ったな、という感じ。五社さんは、女性映画をやるのはこれが最初だったと思うが、力の入り方が夏目雅子さんのワンカットワンカットに宿っている」と語りました。

さらに、五社監督にまつわる“伝説”もひとつ、またひとつと紹介されていきます。春日さんは、「実は、何が本当で何が嘘かわからない。でも、それはそれで面白い」とコメント。著書『鬼才 五社英雄の生涯』等の取材をするなかでも、さまざまな人から話を聞いたそうですが、「それもまた盛られていたりするので(笑)。本を書く時は、『もう、いっちゃえ!』と…」と振り返っていました。

友近が初めて見た五社映画は『吉原炎上』。以来、ネタにもそのエッセンスを盛り込んできましたが、なかでもベストワンはやはり『鬼龍院花子の生涯』。「鬼気迫るものとか、みなさんの命が宿っているのがすごく出ている。ぜんぶがサビ、まだサビ続くか、という展開もすごい」と絶賛します。また、自身も四国出身のため、「『櫂』とか『薄化粧』も印象に残っていて、ロケ地巡りもしました」。一方、巴さんのベスト3は、1位が『人斬り』、そして『鬼龍院花子の生涯』『陽暉楼』と続くそうです。

春日さんのベスト3は、「気分によってコロコロ変わる」とのことですが、今は『人斬り』が1位。そこに『女殺油地獄』も入ってくると言い、「それまでの映画では、たくましい女性、人間のバイタリティを描いてきたが、これは繊細なエロス。次のモードに入ったなと感じました。最後の最後に新しい形を見せられた」と称賛していました。

驚きの演技指導スタイルや、女優への心遣いなど、撮影現場での裏話も続々。五社監督最後の3作品をプロデュースした奥山さんだからこそ、娘である巴さんだからこそ知りえる、秘話の数々も明かされました。春日さん、友近は五社監督と面識がありませんが、「知らないからこそ、知りたいという気持ちがどんどん強くなる」(春日さん)、「(交流のある)名取裕子さんと接すると、五社監督を勝手に身近に感じる。本当にお会いしたかった」(友近)と、それぞれの思いを。巴さんは「父を知らずにここまで語り継いでいただけるのは本当にうれしい」と感謝を述べていました。

友近は、なんと「今ならこの人で『鬼龍院花子の生涯』をリメイクしたい」という独自のキャスティングまで発表。選んだポイントは「似ている」ことだそうで、「夏目さんの役は椿鬼奴さん、仲代達矢さんは千鳥・大悟さん…」とプレゼンします。自身は仙道敦子さんが演じた、夏目さんの少女時代役。これには客席からも思わず笑いが起こっていました。

ほかにも、本作の代名詞ともいえる名ゼリフ「なめたらいかんぜよ!」は台本に書かれていなかった、といった驚きの真実なども語られ、あっという間に1時間が経過。どこまでも止まることのない“五社トーク”を繰り広げた4人に、最後は大きな拍手が送られていました。

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