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歴史ある大江能楽堂にて、日本のアニメーションのルーツともいえる「錦影繪」の世界を体感

2017年10月15日(日) レポート

来年には創建110年となる京都に残る明治様式唯一の建物大江能楽堂にて、10月15日(日)、アニメーションの原点と云うべき「錦影繪」(江戸では「写し絵」)を復活させた「錦影繪池田組」による演目の上映&演者によるトークショーが行われました。

歴史ある能楽堂内に足を踏み入れると、どこか神聖な空気が漂っています。畳と座布団が置かれた見所(けんしょ)という座席から向かって右側に3間四方の板張りの能舞台があり、そこに「錦影繪」を映し出す和紙が貼られたスクリーンのセットが特別につくられています。

「錦影繪」は、日本独特の映像文化で、風呂と呼ばれる木製幻燈機を駆使したカラーアニメーション。その発祥は、江戸時代の京都とされています。何台もの風呂(木製幻燈機)を幻燈師たちが和紙のスクリーンの裏で操り、映像を構成。鳴り物や口上に合わせ、数枚の種板を変化させながら、幻想的な世界を作り出すのです。

今回は、大阪芸術大学の池田光恵教授と同大学学生たち11人で構成された「錦影繪池田組」よる演目「春朧花機巧に壁くぐるとは(はるおぼろはなからくりにかべくぐるとは)」「花輪車(かりんしゃ)」の2本が上映されました。照明を落とした能楽堂に光の濃淡が美しい映像が映し出され、その絵柄の巧みな動きに目が釘付けに。裏からは時折、幻燈機を操る様々な音も聞こえてくる為、どのような仕掛けなのだろうと興味をそそられます。

約1時間の上映後、司会進行のアッパレード・木尾が登場し、池田光恵教授と学生幻燈師4人によるトークショーがスタート。どんなふうに絵柄を和紙のスクリーンに映し出していたのか、表側から実演してくれることに。実際に幻燈師が激しく動きながら躍動感たっぷりに表現されていることがわかり、会場からは拍手が巻き起こります。一番多くて11台もの風呂(木製幻燈機)を使うとのこと。「演目中に登場した紐の上をコマがすべる動きはどうやって?」という木尾の質問には、「2台の別々の風呂を使って、息を合わせて表現しています」と幻燈師さんが答えてくれました。更に種板の仕掛けや仕組み、風呂と呼ばれる木製幻燈機はどのような材料でつくられているかなど、興味深いお話をたっぷり聞くことができました。

そこで興味津々な木尾が「僕もぜひやってみたいです!」と幻燈師に挑戦することに。まずは発電用のバッテリーがはいった袋を背中に背負い、風呂(木製幻燈機)を体の前に装着。「バッテリーは結構ずっしりきますね」と木尾。絵柄の大小を表現するための体の動かし方や種板の操作方法を教えてもらいながら、学生幻燈師さん3人と共に短いストーリーを実演。さすが芸人、なかなか勘のいい木尾は、最初は苦戦しながらも、初めて触れる幻燈機を使いこなし、即興でストーリーを提案するなど見事な実演を見せました。「体験してみたらめちゃくちゃ楽しいですね!」と木尾。会場からは、「どこで体験できるんですか?」との質問の声もあがるほどでした。「錦影繪池田組」では、子どもも参加できるワークショップも実施しているということなので、是非ホームページをチェックしてみては。

「このような歴史ある会場で、たくさんの人に見てもらえてうれしかった」と学生たち。「あまり知られていない日本の伝統芸能を少しでも多くの人に知ってもらえたら。興味がある方は誰でも池田組に参加してください!」と池田光恵教授も「錦影繪」をアピール。格式ある会場と、新しい表現も追求する伝統芸能のコラボが見られた貴重な時間となりました。

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