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沖縄県立芸術大学附属研究所研究員の丸田憲良さんを迎え、「土から見える私たちの世界」と題したトークショーを展開!

2017年10月15日(日) レポート

10月15日(日)、元・立誠小学校にて『丸田憲良×おかけんた・宮川たま子×京都精華大学卒業生 トークショー「土から見える私たちの世界」』と題したイベントが元・立誠小学校で行われました。沖縄県立芸術大学附属研究所研究員の丸田憲良さんによる、「土」をテーマしたこちら、京都精華大学の卒業生、光本さんと藤信さんも参加され、おかけんた、宮川たま子の司会進行の元、トークを繰り広げました。

最初に丸田先生のプロフィールをご紹介。京都・伏見生まれの丸田先生、小学生の頃は2月、3月になると校舎にもお酒の匂いが漂っていたと、今はなき風情を語られます。冒頭からお酒にまつわるエピソードが飛び出し、けんたが思わず「今日は土の話ですよね?」と念を押します。ですが、丸田先生のお話を聞くうちに、お酒も土と大いに関係があることがわかってきました。また、天目茶碗を天皇陛下に献上されたことのある丸田さん。その時の裏話も教えてくださいました。

京都と沖縄を軸に陶芸の土にまつわるお話をお聞きしました。在学中、陶芸を製作する際に土を購入していたという光本さん、藤信さんのお二人。「産地はパッケージに書いてあったので、わかっていました」という藤信さんに、「京都精華大の学生の作品と、沖縄の学生の作品とでは雰囲気が違います。沖縄は自分たちの土地で採ってきた土を使うんです。京都はいろんな土が流通していて、どこから取れたものか分かりません。自分たちが使っている土を意識したことがないのでは?」と疑問を投げかける丸田先生。

続けて、「土の単位からすでに違うんですね。沖縄は『一盛り』と言います。それは山から採ってきたもの。京都の学生さんは『キロ』と言います。それは精製されてすぐ使えるものです。本当の土とは何かと追及していくと、もっと違う作品になると思いますよ。お金を出して土を買うのもいいですが、自分なりのものを作ろうと思ったら自分で土を探して作ると、個性があるものが生まれます」と丁寧に教えてくださいました。

陶芸に適した土を表面から見分けるコツも伝授。それは、そこに生えている木を見ること。「土のことは木が知っています」と丸田先生。なお、沖縄では、嘉手納基地より北にリュウキュウマツが生えており、陶芸に適している土もあるそう。「それで読谷なんですね!」とたま子、故郷の話に目を輝かせました。丸田先生は続けて、土の成分も詳しくレクチャー。成分を知れば、その土が何に適しているか一目瞭然だそう。また、けんたが京都と沖縄の土の違いを尋ねると、「京都は火山がありませんが、沖縄は火山の成分もあります。極端な話ですが、久米島の半分はサンゴが隆起して、残りは火山が噴火して出来上がった島です。村によって土の成分が全然違うんですね。火山が多いところには、いい土がありますよ」。一言で沖縄と言っても、東西で400キロ、南北で1000キロの範囲にわたって島が連なっています。その距離は近畿、四国、中国地方全てが入るほど。その分、土の種類も異なります。「沖縄は土の宝庫です!」と丸田先生、思わず声が大きくなりました。「そういう意味で言うと、京都はすごく狭い世界ですね」とけんた。丸田先生は、「でも、そのなかに全部があって、だから統率もできるんですよ」と京都の特異性も指摘されました。

ほかに、土の成分が違うから、海の色が地域によって全く違うこと、世界には石や土、木の文化などがあることなど、話題はどんどん広がっていきます。また、「酸性土壌が生むものの一つが焼酎で、酸性土壌はサツマイモ畑にも適しているんです」と、お酒は芋焼酎をよく飲むというけんたの例をとってレクチャー。たま子の出身地である沖縄で紫芋がよくできる仕組みも成分から教えてくださり、そのわかりやすさに「合点していただけたでしょうか?」とけんた、笑いを誘いました。丸田先生がトークのために持参された土の見本も聴講者に順に見てもらい、土に触れる一幕もありました。

藤信さんや聴講者からご質問もありました。藤信さんの「土と釉薬について、先生はどうお考えですか?」とのご質問に「全く別のものではなく、親戚です。一連の流れのなかに釉薬があり、土があります」とお答えになる丸田先生。また、参加者から「酒器によってお酒の味は異なるんですか?」との質問にも、「それはあります。例えば沖縄はケイ酸分の多い甕を使う方がお酒に適しています」とのこと。けんたも思わず「先生やったらおいしいお酒が飲める器を作ってもらえそうですね!」と期待しました。

最後に陶芸をされる方々にアドバイスを。丸田先生は、「どういう作品をつくろうかと、素材と自分とで対話すること。個性を出すには、たくさんの引き出しを持つことが大事になってきます。引き出しをどれだけ持っているか、これからますますそうなると思います」とクリエイターたちにエールを送りました。

今回のトークショーの感想を尋ねると、「自分の知らないことがいっぱいあるので、自分の目で見て引き出しをいっぱい増やしたい」と光本さん。「土は自分で選択したつもりでいましたけど、土と釉薬を自分で考えていくと、新しいものが作れると思いました」と藤信さん、さらなる制作意欲を示されました。たま子は「私は生まれたときから地黒で、あだ名が土だったんです。でも、今日、土の話をたくさん聞いて誇りに思いました!」。最後にけんたが「土を知って自分を知ることが大事ではないでしょうか」と締めくくりました。

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