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高峰秀子さんが5歳のころ出演した貴重なフィルムなどを上映!「映画探偵が発掘した映画たち『私のパパさんママが好き』発見!」

2017年10月13日(金) レポート

10月13日(金)、大江能楽堂にて、「映画探偵が発掘した映画たち『私のパパさんママが好き』発見!」が開催されました。毎年、好評を博している「サイレント/クラシック映画」特集が今年もまたまたパワーアップ。ここでは、その発見が大きな話題となった、高峰秀子さん子役時代の出演作『私のパパさんママが好き』を含む4本が上映されました。

MCを務めるのは、清水圭。さっそく本日の出演者、解説を担当する『映画探偵』の著者・高槻真樹さん、活動写真弁士の片岡一郎さん、ピアノ演奏の上屋安由美さん、そして『私のパパさんママが好き』の主題歌を歌う大森くみこさんを呼び込みます。

高槻さんは、「今までは、映画を“作る人”が中心だったが、“見つける”人もいる」と“映画探偵”について力説。今回上映するのは、片岡さんが発見したものが多く、ふたりはオークションでは常にライバル関係にあるそう。また、清水は先日、ニュースの見出しに片岡さんの名前を見つけて驚いたエピソードを披露。その記事が、今回の作品を発見した時のもので、片岡さんによると「特徴は画質があまりよくないこと(笑)。でも、見られるだけでも貴重なフィルムです」と説明しました。平日昼間ながら多くの観客が集まり、「今日は来られずに悔しい思いをしている方もおられるのでは」と清水。

ふだんはクラシック音楽を中心に、「楽譜通りの曲をそのまま弾く」ことが多いという上屋さんは、「映画を見ながら、弁士の声を聞きながら、それを受けて曲を弾くのはまったく違う。アドリブも入れますし、毎回、全然違う演奏になります」。弁士として活動する大森さんは、“歌手”としての参加にちょっぴり緊張気味。「依頼をいただき『え?』と思った。活弁のときも歌うことはあるが、今日は歌だけなのでドキドキしています」と話しました。

いよいよ上映がスタート。まずは1935年の作品『魂(たま)を投げろ』です。往年の名女優・原節子さんも出演しており、本作は、現存する原さんのいちばん古い映画になるのだとか。

甲子園を目指すふたりの野球少年と、原さん演じるひとりの少女を中心にした青春スポーツドラマ。上屋さんが奏でる甘いピアノの音色に乗って、片岡さんの活弁が、物語に息を吹き込んでいきます。原さんの美しさは、古いフィルムのなかでも光輝くよう。少年同士の友情や、父と子の絆、チームメイトがからむコミカルなシーンまで、盛りだくさんな内容で魅了しました。

2本目は、日本最初の大スターといわれる尾上松之助の1925年の主演作『自来也』。おもちゃ映画ミュージアムが発見し、今日が初上映、“ワールドプレミア”となります。高槻さん曰く、「特撮がすごいです」。3分という短い作品ながら、4人の自来也が同時に現れたり、火鉢のなかから煙とともに飛び出すなど、確かに驚きの特撮が満載! これには清水も「すごいですね!」と大興奮でした。

3本目の『黒白双紙』は、1925年の喜劇映画で、「人気プロダクションの制作だが、今も残っている作品はチャンバラが多く、こういうコメディは珍しい」(高槻さん)とのこと。隣同士で商売を営む炭屋と選択屋のいがみあいは、爆笑の連続。当時の町の風情もイキイキと描かれ、ここでも片岡さんの語りが冴え渡ります。

さあ、いよいよこの日の目玉作品『私のパパさんママが好き』の登場です。高峰さんは最初と最後にちょっとだけ出てくるそうで、目印はベレー帽。主題歌を歌う大森さんは、「当時、(主題歌の)レコードが出ていて、淡谷のり子さんが歌っていた」と、豆知識も紹介します。しかも、主演を務める斎藤達雄さんの親類の方が会場に来ていることが明らかに! 清水のインタビューを受け、「テレビでは見たことがあるが、古い映画はほとんど見たことがない。今回、祖父の作品がまた新たに見られてとても感謝しています」と述べられていました。

映画では、失業中の夫と家計を支える妻、そして息子の3人家族を中心に、夫婦げんかと歌を通しての仲直りが、コミカルに描かれていきます。高峰さんは、息子の友だち役で、愛らしさを振りまいていました。クライマックスを彩るのは、もちろん大森さんの歌声! ほのぼのしたストーリーにぴったりのかわいい曲で、作品を大いに盛り上げました。

4作品の上映を終えた出演者たちには、観客から改めて大きな拍手が。大森さんは、「自分でもびっくりするぐらい緊張していたので、ホッとしています」と笑顔。上屋さんも、個性豊かな作品たちを振り返り、「今日はそれぞれに印象深いキャラクターで、演奏していて楽しかった」と話していました。

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