ニュース全ニュース

LIMITS『Digital Art Battle in KYOTO』2日目も熱いアートバトル

2017年10月13日(金) レポート

10月12日(木)~13日(金)、京都芸術センターにて、映画祭のアート部門イベントのひとつ、LIMITS『Digital Art Battle in KYOTO』が開催。今日は2日目にして最終日を迎えました。
『LIMITS』とは、勝敗をつけることがタブーといわれるアートに勝敗をつけて競う、デジタルアートバトル。テーマはバトル直前に決定、与えられる制限時間はたった20分というなかで、アーティストたちはPCや専用タブレットを駆使して、デジタルアートを描き出し、制作経過もふまえ投票によって勝敗を決します。

また、2015年5月に初大会を開催してから、たった2年で賞金500万円の世界大会を開催するまでに至った、全く新しいバトル型エンターテイメントとしても注目を集めている『LIMITS』。
今回は「東アジア文化都市2017京都」との連携企画として、京都芸術センターにて実施。常連のアーティストたちのバトルの前に、よしもと芸人たちが参加し、エキシビジョンマッチが行われました。ちなみに本イベントは、「Youtube Live」「 Fresh!」「LINE LIVE」など、インターネットでのリアルタイム配信も行われました。

2日目はMCにエハラマサヒロが登場。「昨日は盛り上がりすぎて、会場が崩れそうだった」と、会場を煽ります。また昨日に引き続き『LIMITS』オフィシャルMCの豊田穂乃花さんも登場し、早速よしもと芸人によるエキシビジョンマッチがスタート。

通常は1vs1のところ、昨日と同じく京都国際映画祭特別ルールとして、4人vs4人のチーム戦。時間内の交代は自由です。壇上には青コーナーのチームHG(レイザーラモンHG、カナリア ボン、ものいい 横山、オオカミ少年 浜口)と赤コーナーのチーム大林(モンスターエンジン 大林、らむね 岡、ZAZY、松下笑一)が登場。テーマは「月」と「変化」に決まり、すぐさまアート対決がスタート。昨日に引き続き、ギャロップKELLYがDJとして会場を盛り上げます。

まずはレイザーラモンHGとモンスターエンジン 大林が着席。両チームともわかりやすく、画面に月を描き出します。モンスターエンジン 大林は月を描いたことで満足したのか、突然のカメラ目線。「なにもできあがってませんよ!代わってください!」とらむね 岡。
レイザーラモンHGは月の中に営業中のクールポコを描き、笑いを誘いつつ、ものいい 横山へ。

ものいい 横山は、もともと絵を描く仕事をしていたそうで、「すっごい(上手)ですからね」とのエハラのコメントに会場の期待も高まります。一方チーム大林はZAZYが登場するも、ほぼ何もできず、松田笑一へバトンタッチ。
横山は絵を大きく展開。月を目に見立て、あっという間にモニターには狼が表れます。これにはエハラも「ウマい!」。会場からもそのテクニックにどよめきが。

その後も着々と制作が進み、チームHGはオオカミ少年 浜口、チーム大林はリーダー大林、らむね 岡へバトンタッチしたところで10分が経過。現時点での採点がランプで表示され、チームHGの青が優勢ムード。
MCの豊田さんが「ポイントとして20分をいかに飽きさせないか」とコメントするなか、後半戦へ入ります。
現時点ではチームHGが先ほどの狼の画に色が入った状態、チーム大林は月と太陽、地球が描かれ、徐々にストーリーが見え始めます。

その後、チームHGはオオカミ少年 浜口、カナリア ボンの制作中に絵が暗転するハプニングに見舞われますが、なんとか軌道修正。画面には新しい月が登場し、またもや中にはクールポコ。これにはエハラもすぐさま反応し「最初の月には小野まじめ、新しい月はせんちゃん。結果クールポコがいます」とフォロー。会場からも笑いが。
かたやチーム大林はZAZYの悪い癖が。月、地球、太陽とバランスのとれた絵にZAZYの顔を描き、嫌な予感を感じさせます。

ここで残り時間5分。途中経過は一転、赤の大林チームが優勢に。
考えられる要素として、「青はせんちゃん、赤はZAZYという名の惑星と描いたからでしょうか」とエハラ。月にせんちゃんを描いた主犯・カナリア ボンは「やっちまたなぁ~」とクールポコのネタをパクり、すっとぼけ。これにはエハラから「これは減点ですねぇ。さっきまではクリエイター、今は芸人として減点です」と、厳しいツッコミが。

大きな動きなく、残り2分30秒頃からは両チームとも背景に色づけ。仕上げの段階に入ります。最後にチームHGは夜空に雲がかかり、チーム大林は右下によしもとのロゴをデザイン。残り10秒、再度大林のカメラ目線が飛び出し、そのままタイムアップ。

対戦した感想を尋ねられ、「すごく楽しい。カメラ目線は、『LIMITS』の出場者の方に、あまった時間の使い方をプレゼンしたつもり」と大林。「僕もカメラ目線ができて楽しかった」と岡。
HGは「月を描いていたら、ついクールポコになった」「横山くんが狼にした変化の部分は見事」とコメントし。結果発表へ。

結果、403対327でチームHGが勝利。審査員評では株式会社リリアン代表取締役、リリアン・ウーさんが「どちらもどうなっていくかわからなかったので、最後までドキドきした。『LIMITS』の特徴らしく、完成した作品というよりプロセスが面白かった」とコメント。京都芸術センター チーフプログラムディレクターの山本麻友美さんは「最後まで楽しく見られました。チームHGに高い点数を入れたけど、今見ると大林チームも面白かったような気がする」と語りました。

エキシビジョンマッチも終了し、いよいよ『LIMITS』アーティストたちのバトルへ。

第1戦はKim Sung(キム スン)対上田バロン。テーマは文化と愛情でバトルスタート。非常に柔らかいタッチが特徴のKim Sungはデジタルながらアナログチックな作風が魅力。一方で上田バロンは京都出身のイラストレーター。今年開催されたワールドグランプリは3位、そのほかマクドナルドやグーグルとも仕事をしたことがある実力派です。
Kim Sungの作品は色がのった瞬間、全員から歓声があがる水彩画のような巨人兵。上田バロンは女の子と秋らしい中秋の名月が描かれます。

タイムアップ後、Kim Sungは「思いがけない題材だったので、自分的には少し納得がいってない。ラピュタがすごく好きで日本の文化を表現しようと思ったけど、時間が足りなかった」とコメント。
上田バロンも「確かに難しいテーマだったので、かなり混乱しました」と語りました。
そして、なんと結果は443対443とまさかの同点。審査員の評点が優先されるため、上田バロンが勝利するも、MCの豊田さんは「今までにない展開だったので、すごかった」と大興奮。
審査員評では、KADOKAWA/2021年室エグゼクティブプロデューサー・担当部長の玉置泰紀さんが「二人の素晴らしい部分がでたが、文化と愛情ってすごく難しい。Kimさんは文化、バロンさんは愛情の表現が弱く接戦になった」とコメント。またイラストレーション元編集長 本吉康成さんは
「自分でもどうしようかと思いました。とにかく絵の完成度はすばらしい。Kimさんは水彩のタッチが非常によく出てるし、バロンさんは女の子が月のウサギを見ている部分で愛情を表現したのかな」とコメントしました。

続けて2戦目はGOD TAIL対KENTOO。テーマは秋と時間に決定します。
GOD TAILは、『LIMITS』では必ず優勝候補にあがる実力派。テレビ番組やゲーム、パチンコなどのキャラクターデザインも数多く手がけています。
KENTOOは『LIMITS』の前身イベント、『DLP-Battle』のチャンピオン。円谷作品やゴジラ、エヴァンゲリオンとコラボし、恵比寿マスカッツやももいろクローバーZのデザインなども担当したことがあります。
ポップなデザインが特徴の両名。スタートからどちらのモニターにもかわいい女の子が描かれます。ちなみに豊田さんからは「GODさんが女性を描くのは珍しい。どんな作品になるんだろう」早くもワクワク。大林はKENTOOさんが描いた女性の下書きを見て「下書きだけで体のラインがわかるのがすごい。アレだけでもう付き合いたい」とコメント。

最終的にGOD TAILは女の子に加え、鉢巻を付けたレイザーラモンHG+みうらじゅんのようなおっさんの3人を描き終了。KENTOOは水着の女の子を描いていましたが、土壇場で絵のサイズが小さくなり、代わって大きなぽっちゃり女子がメインに。夏から時間を経て太ってしまったストーリーを描写します。
これにはMC勢も「えー!絶対あっち(水着の女の子)がメインと思っていたのに」と驚愕。さらに「これが『LIMITS』の面白さ」だと付け加えました。

タイムアップしたところで、「パソコンの設定が異なっていたので、使いたい機能が使えなかった」と、アクシデントがあったことをGOD TAILが告白。
結果はアクシデントのせいもあってか、415対484でKENTOOが勝利します。
審査員評では本吉さんがKENTOOさんの作品について「大半の時間を女の子を書く時間にあてながら、あの見せ方はスゴい。そこが『LIMITS』の面白さ」とコメント。
リリアンさんも「KENTOOの最後のサプライズがよかった。GOD TAILはパソコンの設定が間違っていなかったらという部分を見たかった」と述べました。

するとトラブルの告白もあってか、最終戦のあとGOD TAILとKENTOOの再戦が急遽決定!これには会場もヒートアップ。早くも再戦が待ちわびてしまいます。

と、その前に本来の最終戦。jbstyle.対アオガチョウの第3試合がスタート。テーマは仏と時間です。
昨日は勝利している両名。jbstyle.は現在『LIMITS』ランキング1位で、唯一『LIMITS』2連覇を経験。世界最速の異名を持つ、デジタル界のスピードスターです。かたやアオガチョウは、2017年の2月に初開催されたワールドグランプリに、初参加で優勝を果たした現世界王者。この二人の対戦はワールドグランプリの決勝と同カードで、改めて現時点での『LIMITS』最強決定戦です。

いざ熱いバトルが幕を開けますが、開始早々の2分40秒、アオガチョウの設定トラブルのため一旦タイムストップ。イレギュラーながら試合自体が中断されてしまいます。しかしながらリスタート後、jbstyle.がアオガチョウのロスと同じ時間、筆を進めずに待つというフェアプレイ。これには会場も大きな拍手と歓声で応えます。

それからタイムストップまでは真剣勝負。jbstyle.は強面のお兄さんを描いていましたが、コピーして左右を反転したものをつなげ作品を拡大。さらに終了間際には上下を反転させ、画面には大きな仏様が。
アオガチョウは白骨化した武士から魂が天に成仏していく様子を、異なるタッチの光や雲を描きつつ、ストーリー展開で表現しました。

結果は535対484でjbstyle.の勝利。審査員評ではUNKNOW ASIA/digmeoutプロデューサーの谷口純弘さんが「さすが『LIMITS』の2トップで、素晴らしい試合」。山本さんが「二人ともすごくで感動した。自分のアイデアやイメージを作品で表現できる力を持ってらっしゃるので、今後もっと素晴らしい作品を作って欲しい」と、それぞれコメント。見応えのある1戦が終了しました。

そしてそして、先ほど決まったGOD TAILとKENTOOの再戦へ。テーマは月と記憶に決定します。
MC席からも「これはボーナストラック、嬉しいですね」とHG。

今回はGOD TAILが、MC勢が「GODさんが得意な、ゴリゴリにいかつい男」と表現したスキンヘッドの男を描き始めます。と、KENTOOもいつも描いていたかわいらしい女性から一転、今回はいかつい男がモニターに。

両名とも男を中心に描き進めますが、KENTOOの作品はタイムラインなどが表れ、狼男のアニメーションだということが発覚。会場からも歓声が起こりました。

タイムアップし、結果は475対497で、またしてもKENTOOの勝利。
審査員評では本吉さんが「GODさんは作画自体がよかった。KENTOOは久々の王道アニメーションが素晴らしかった」。リリアンさんは「アニメーションを初めて見られたので楽しかった」とコメントしました。

急遽1試合増え、3時間超におよんだ2日目も終了。
MC豊田は「今回はエキシビジョンでしたが、いつか芸人さんも本選に出てほしい」とコメント。エハラは「描いている経過やオチをいかにして見せるか。芸人と『LIMITS』の相性はいいと思った」と締めくくりました。

また各審査委員は
「アーティストが作品を作る経過を、ライブで見ることがないので楽しい」と山本さん。
「緊張感をヒシヒシと感じるライブがよかった」とリリアンさん。
「テーマに非常に左右されるのが特徴だけど、やっぱりアーティストによって解釈の違いが味になるから『LIMITS』は人だと実感した」と谷口さん。
「芸人さんと一緒にするということに可能性を感じた。より広い人に知ってもらういい機会になると思う」と玉置さん。
「言いたいことは玉置さんに言ってもらいました。付け加えると芸人さんのサービス精神って『LIMITS』にフィットすると思うので、もっといろんな人に見てほしい」と本吉さんら、それぞれ『LIMITS』で感じた魅力をコメント。
最後に「『LIMITS』の公式サイト(http://limits.jp/)にて、今回のイベントの動画や、今後の予定もあるので、ぜひ参加者の応募もお待ちしています」と豊田さんがPRし、2日間に渡るイベントは幕を閉じました。

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア