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「原作開発プロジェクト」<マンガ部門>グランプリ作品は台湾・台南市在住の銀甫(いんふ)作『人偶(じんぐう)』に決定!

2017年10月15日(日) レポート

10月15日(日)、元・立誠小学校にて「原作開発プロジェクト」の<マンガ部門>グランプリ作品授賞イベントが行われました。よしもとクリエイティブ・エージェンシーとメディバンがコラボレーションして、全世界を対象に才能を集めるためのコンテストを開催し、応募作品総数は463作品と世界各国から応募がありました。『京都国際映画祭2017』で大賞を発表しました。

授賞イベントの司会進行はGAG少年楽団。「原作開発プロジェクト」とは、様々なユーザー投稿型サービスとタッグを組み、枯渇している原作を開発し、才能を育成していける仕組みを生み出すプロジェクトです。今回は、2017年4月より作品募集を開始したMediBang!による<マンガ部門>のグランプリ作品を発表しました。

まずは主催の株式会社メディバン マーケティング本部長 土井将史氏よりご挨拶がありました。
「弊社は海外のユーザーに強いという特徴を生かし、日本を除いた海外のみで募集しました。100作品が集まればマンガコンテストは成功と言われる中、今回は450作品以上の応募がありました。これは、よしもとクリエイティブ・エージェンシーとメディバンの本気の姿勢が伝わった証だと思います。応募作品はどれも魅力的で、今後も魅力的な作品をよしもとクリエイティブ・エージェンシーと開発できたらと思います」。

続けて、特別審査員の京都精華大学学長 竹宮惠子氏によるご挨拶がありました。
「なんといっても、作品がバラエティに富んでいたのが一番よかったです。このバラエティ豊かというのは、たくさんの国からという意味もありますが、作品内容についてもそうで、楽しく、明るいものもあれば、しみじみしたもの、おしゃれなもの、全く言葉のないものもありました。そういった、内容的にバラエティに富んでいることが素晴らしいと思いました」。

また、特別プレゼンターとしてパラパラ漫画で世界を席巻した鉄拳が登場。プロジェクターに映し出された11のノミネート作品の表紙とタイトルを目にした鉄拳は、「日本語のタイトルを全部知りたかったですね。どういう内容なのか…」と表紙だけでも気になるものがたくさんあったよう。「みんな表現がうまいですね」と世界のクリエイターたちのクオリティに感心していました。

そしていよいよ、大賞の発表です。応募作品総数は463作品と、今まで開催されたMediBang!のコンテストの中でもっとも多くの応募がありました。その中で栄えあるグランプリを受賞したクリエイターには、賞金30万円が贈呈されるほか、受賞作品の再出版化、Amazonプライム・ビデオで映像化といったアウトプットを検討していきます。

MediBang!による<マンガ部門>のグランプリ作品は台湾・台南市在住の銀甫(いんふ)氏による『人偶(じんぐう)』に決定しました! 「最愛の一人息子を亡くした町一番の木工職人が、寂しさのあまり人形を作り、魂を込める。少年の形をし、命を吹き込まれた人形には、ある重要な二つのルールがあった…」というストーリーで、親子の愛の本当の意味を問う、衝撃的なラストにも注目の作品です。

授賞式に登壇した銀甫さんには、竹宮氏より目録が贈呈され、鉄拳からは製本が渡されました。「大賞を受賞でき、本当にうれしく思います、とても光栄です。ありがとうございます」と銀甫さん。今回、インターネットで関連情報を見て、応募にしました。画力が絶賛された銀甫さんですが、「大学に入るまでは独学で、入学後は漫画のコースに入りました」とのこと。現在23歳、ほぼ独学で技術を得ました。普段は家で絵をかき、たまにバトミントンを楽しんでいるという銀甫さん、「賞金の30万円は半分は家族に、半分は今後のために画材に使います」と嬉しそうな表情を浮かべられました。

竹宮氏に受賞の決め手を訪ねると、「ほかの作品に比べて非常に細かい手仕事を感じられる画面でした。そういうところが日本の漫画が長い間培ってきたものを継いでくださっているように思いました。ストーリーも、複雑な構造になっていて、いろんなことを考えさせられます。ラストシーンもいろんなことを含んだ終わり方になっていて、素晴らしいと思いました」と称賛されました。鉄拳も「審査するつもりで来たのですが、もう審査は終わっていて。なので、素直に読ませていただきました。本当に、おもろしろかったです。ストーリーもよくて、プロ並みの絵だと思いました。ダークファンタジー風にうまく仕上がっていると思いましたし、違うジャンルも見てみたいので、次回作も期待しています」と絶賛しました。土井氏は。「不思議な作品だと思いました。受賞作を10回くらい読み直したのですが、毎回発見があるんです。なので、皆さんにも何度も読んでみてほしいと思います。『人偶』は画力も、構成力もよくて、ほかの作品と一線を画していました。Amazonも世界に向けた作品にすると意気込んでいました」と高評価。「この作品を世界中の皆様に見せられるのが光栄です。今後も、皆さんに届けたいと思います」と銀甫さん、さらなる製作に意欲を見せました。

「原作開発プロジェクト」<マンガ部門>の総評を竹宮氏にお聞きしました。
「こういった試みがすばらしいと思いました。大きな出版社で出版してもらうしか道がありませんでしたが、新たな道を開拓してくださろうとしていると思うので、そのことは私もうれしいですし、感謝申し上げたいと思います。そういったプロジェクトをネットで見ることができて、世界中から応募がある。それは世界の人が日本の漫画、日本の土壌に関心を寄せているからだと思います。それをないものにしないよう、日本の土壌もしっかりと肥やしてほしいと思います。書き手はいろんなこところにいると思います。“才能が枯渇”したと冒頭におっしゃいましたが、枯渇しているわけではなく、出ていく道がないだけだと思うんです。世界を見ても、これからいろんな道を作らないと来られないと思うので、もっとたくさんの新人の方たちが出て来られるよう、道をつくってほしいと思います」とプロジェクトのますますの充実と発展にエールを贈られました。

10月16日(月)からは”Kindleダイレクト・パブリッシング”による<小説部門>と、“STORYS.JP”による<ノンフィクション部門>の第二回作品募集も開始します。アマゾンジャパン合同会社Kindleコンテンツ事業本部長 友田雄介氏から「このプラットホーム上で作品を募集したいと思います。テーマは「映画」。映画にまつわるお話を募集します。たとえば、映画の撮影現場で起きるミステリーとか、映画館で出会ったラブストーリーとかあると思います。小説ではありますが、文学賞ではないので、映像化を前提とした原作を募集します。文学的な技法、技巧が考慮の対象ではなく、ストーリーとして、特にドラマを目指しているので、連ドラ化しやすい作品を募集しています。10月16日(月)からスタートします。副賞は30万円、アマゾンでの映像化も検討したいと思います」とご説明がありました。

そして“STORYS.JP”による<ノンフィクション部門>については、1010株式会社 代表取締役 清瀬史氏からのご説明がありました「STORYS.JPは、人生のストーリーを投稿するサイトです。第1回目は743作品の投稿があり、15歳の女子高生から75歳の方まで、幅広い年齢層の方に投稿いただきました。
プロジェクトを通じて人生の発掘で意義があった。“STORYS.JP”は『みんながストーリーを持っている』というコンセプトです。第2回の募集は、日本人に限らず、海外にいる人もストーリーを持っているということから、間口を広げて海外からも募集します」。

質疑応答では言語によって作品の色の違いはあったのか?というご質問がありました。「オノマトペを日本語のようにやる方も、自国のようにやられる方もいて、そういう特徴はありましたが、言語ごとに作品の内容に違いがあるかというと、アメリカがアメコミっぽいぐらいで、フランスも日本の漫画を十分吸収してやっている特徴が少しありましたし、台湾は日本の漫画を吸収する時期が早かったので、日本の漫画に近かったという気がするぐらいでした」と竹宮氏。また「マンガ」が世界で通用するワードになっていますが、日本の漫画について改めて尋ねると、「日本のマンガは、コマの読ませ方がほかの国とは一線を画していると思います。また、読者とのやり取りで世界を作っている感じがあります」とのことでした。

また、2018年4月より沖縄でアニメクリエイターの専門学校を開校することについて、現段階でMediBang!との連携プランの有無については土井氏に質問が。「協力できることはやっていこうという思いはあります。例えば、カリキュラムの一環として学生さんから作品を募るなど…」とのお答えでした。

歴史に残る映像化作品の原作としてグランプリを決定した「原作開発プロジェクト」<マンガ部門>。今後の展開にもどうぞご注目ください!

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