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牧野省三賞は新藤次郎氏が、三船敏郎賞は浅野忠信氏が受賞!京都国際映画祭2017が華々しくスタート!

2017年10月12日(木) レポート

10月12日(木)、今年で4回目となる「京都国際映画祭2017」がスタートしました。
今年も12日から15日にかけ、「京都3泊4日」をテーマに、様々なエリアで映画やアートなど多岐に渡るイベントを開催。
初日となる12日(木)は、あいにくの空模様。小雨がぱらつきはじめるなか、今回の舞台、世界遺産でもある「西本願寺」にてオープニングセレモニーを開催。重要文化財の南能舞台にステージ、国宝の対面所(鴻の間)に客席を設け、厳かな雰囲気のなか、その時を待ちます。

オープニングは、まず祇園甲部の芸妓さんたちが登場。拍子木を打ち鳴らして演奏する京都の伝統芸能「手打ち」の披露で幕を開けました。「手打ち」とは慶事などおめでたい席でしか披露しない伝統芸能で、今回は「七福神」「花づくし」の2曲を披露。

演奏の後、MCの木村祐一、藤井隆、KBS京都アナウンサー平野智美さんが登場。改めてオープニングセレモニーの本番です。
世界遺産の西本願寺でセレモニーができることについて、藤井から感想を求められた木村は「チョー気持ちイイですね!」と一言。重要文化財に指定されている、建物の細かい仕事も見て欲しいと続けます。さらにwi-fiが飛んでいることにも触れ、「まさか親鸞上人もwi-fiがとぶとは思ってなかったでしょうね」と笑いを誘います。
さらに、京都映画祭としてスタートした本イベントが「映画もアートもその他も全部」をテーマに京都国際映画祭へと進化した成り立ちに触れ、開会宣言へ。

紹介を受け、京都国際映画祭実行委員会名誉委員長・中島貞夫さんが登場。まずは「世界遺産をオープニングセレモニーに使っていいと言ってもらった西本願寺の皆様に心から御礼を申し上げます」とコメント。さらに、今年が京都、ひいては日本で初めて映画が上映されてから120年目の節目の年。本当に記念すべき年だと力説。皆さんで盛大に盛り上げて楽しんで欲しいと続け、最後に映画の現場さながらの張りのある「第4回、京都国際映画祭よーい、スタート!」の掛け声が舞台に響きます。キリッと張り詰めた空気が流れ、いよいよ京都国際映画祭の開幕けとなりました。

続けて主催者を代表し、京都国際映画祭実行委員会実行委員長・中村伊知哉さんが舞台へ。「世界のなかでも京都でしか味わえない濃密な空気はどうですか?今年は西本願寺を皮切りに、京都タワーや岡崎公園、植物園など東西南北で楽しんでいただきます。『京都3泊4日』をテーマに、ひとつ盛大によろしくお願いします」と挨拶。

その後は来賓挨拶へ移り、京都市長の門川大作さん、京都府知事の山田啓二さんの代理として文化スポーツ部長の森下徹さん、文化庁 地域文化創生本部事務局長の松坂浩史さんが登場しました。

まず門川さんは、昨年は世界遺産の二条城でオープニングを行ったことに触れ「今年も世界遺産の西本願寺でオープニングができることに感慨深いものを感じています」とコメント。また、文化庁の京都への全面移転について語り、「映画をはじめ、あらゆるアート、すべての文化で日本全体を元気にし、世界から尊敬される。そんな日本にできるよう、頑張ってまいります。本日ご出席いただいている、ご尽力いただいているすべての皆様に御礼を申し上げます」と挨拶されました。

森下さんは京都府知事・山田さんの祝辞を代読。
そのなかで「京都の文化は伝統に革新を積み重ねて発展してきたもの。映画文化をリードした京都のポテンシャルを活かし、より多彩なコンテンツで地域の活性化につなげたい」と述べられました。また、文化庁の京都全面移転が決定したことを挙げ「京都が名実ともに日本を代表する文化都市に。これからも幅広い文化財を世界に発信したい」と挨拶されました。

松坂さんは、前述の二人の挨拶にも出てきた文化庁の京都への全面移転の話を受け、まずは、遅くとも2021年までに、文化庁が京都へ全面移転されることを説明。さらに、「重要文化財が身近に存在する京都で文化行政に取り組めるのは、日本の文化振興にとって大きな貢献だと感じます。そして、文化財の利用が難しいなか、こういったかたちで使えることは素晴らしい」とコメントしました。

続いて、国連広報センター所長、根本かおるさんが登壇し、持続可能な開発目標・SDGsをテーマにした特別企画が行なわれることに感謝を述べたあと、SDGsについて説明。2015年に国連で採択され、貧困を無くそう、ジェンダー平等、気候変動対策など17の目標について、途上国だけでなく、先進国も含めた世界のマスタープランとして、足元の課題に切り込んでいくものであると説明しました。

エンタテインメントビジネスが一体になってSDGsを応援しているのは日本が世界で初めての例であるとのこと、10月13日(木)には、映画もお笑いも新喜劇も全部ということで、SDGs花月が開催されることを話し、改めて感謝の意を述べました。

ここで、ニューヨーク国連本部広報局からのジェフリー・プレズさんが登壇し、日本語での挨拶のあと、英語、さらに日本語でスピーチを披露。留学で2年間住んでいて京都を第二の故郷と思っていると話し、SDGsを2030年に達成するにはみなさんの力が必要であると力説しました。

祝電紹介では、内閣官房長官・菅義偉さん、経済産業大臣・世耕弘成さん、自由民主党幹事長代行・萩生田光一さん、内閣総理大臣補佐官参議院議員・衛藤晟一さん、参議院議員・鶴保庸介さんと、そうそうたる面々が映画祭の開催にお祝いの言葉を送ってくださいました。

京都国際映画祭アート部門のアートプランナーのおかけんたからは、「今年のアートのテーマは『生生流転』。ものは常に生まれ変わる、移り変わる、そういった形で、こういうオープニングセレモニーをさせていただき、その後に映画、アート、いろいろなプログラムがございます。映像作品や参加型のイベントもあります。皆様方にはプログラムやサイトをご覧になっていただき、ぜひとも4回目の映画祭を楽しんでください。石の上にも三年、この4年目が皆様方のご支援、応援が必要になります。どうぞ何卒よろしくお願いいたします!」と声高らかにスピーチしました。

続いて、総合プロデューサー・奥山和由さんがステージに登場しました。今回の映画祭はプログラムが例年になく充実していることを強調。まず、「火花」のワールドプレミアを始め、数多くの作品を上映することを話し、無声映画やクラシック映画など、京都映画祭ならではの作品がより充実していること、アニメ生誕100年のタイミングで新しくアニメジャンルがスタートしたこと、クリエイターズファクトリーも4年目を迎え、次々と若い才能が見出されていることなどをアピールしました。

そして「映画に対する姿勢を厳しく教えてくれた五社英雄監督の特集を組ませていただいた」と語り、五社監督にゆかりある人にアンバサダーをお願いしていると続けます。「映画女優という道のど真ん中を歩み続けられている方です。個人的ですがスクリーン上の初恋の人、元祖クールビューティー」と呼び込まれたのは、京都国際映画祭2017 アンバサダー 岩下志麻さんです。

岩下さんはアンバサダーに指名されたことを光栄と語り、4回目を迎えた京都国際映画祭について「本当におめでとうございます」と挨拶。そして「京都のスタッフはプロフェッショナルで素晴らしい方ばかり、京都を中心にたくさん映画を作って、映画祭を軸に映画の和が広がるよう期待しております」と話しました。そして、20代のころからの京都との思い出、名作の裏話、プライベートでの失敗など、貴重なエピソードも披露、会場が笑いに包まれます。奥山さんは「THE映画女優にオーラをいただいて、4日間突っ走りたい」と締めくくりました。

続いては牧野省三賞の受賞式です。2014年から京都国際映画祭が引き継いだこの歴史ある賞。選考委員が紹介されたあと、俳優であり、牧野省三さんの孫でもある津川雅彦さんが登壇し、今回の受賞者、新藤次郎プロデューサーを紹介しました。

トロフィーを手渡された新藤さんは「とにかく光栄です」と恐縮。牧野省三さんの功績を讃えたあと、この受賞で映画人の端くれに認めて頂いたという思いが強いと話し、賞を汚さないようがんばりたいと思いますと力強く語りました。

いよいよ「三船敏郎賞」の発表です。「京都国際映画祭」で新設された本賞は、日本映画界を代表する方々で構成される審査会により、国際的な活躍を期待される俳優を表彰し、2014年は役所広司氏、2015年は仲代達矢氏、2016年は阿部寛氏が受賞されました。

まずは審査委員会の佐藤忠男さんが。「京都国際映画祭は「三船敏郎賞」を出す。「三船敏郎賞」はどういう基準で受賞者を選ぶのか。世界に向かって日本を代表する俳優さんだと。ほぼ世界中の人に名前だけで分かる俳優さんということで、それなら非常に明快だと思って喜んで引き受けました」とご挨拶され、木村大作さんが大きな声で今年の受賞者である浅野忠信さんの名前を読み上げました。

ゆっくりと一礼をし、能舞台に登場された浅野さん。浅野さんにはトロフィーと副賞のスカーフ、そして主催の京都国際映画祭実行委員会より100万円が贈呈されました。

佐藤さんは、「この賞は“年度賞”とか、今年一番いい賞というものではなくて、三船敏郎さんのように日本を代表する役者と言える人に贈られます。『幼な子われらに生まれ』や『沈黙』など、見事に日本を描いた作品に出られました。『幼な子われらに生まれ』は非常に複雑な悩みを持ちつつも静かに黙って、耐えているというよりずっと挑戦している役。四方八方に気を遣いながら泰然自若としているのは日本人の一つの理想像じゃないでしょうか。日本を代表すると胸を張って推薦できる方だと思います。今年は非常に楽に選べました」と受賞の理由などを述べられました。

浅野さんは「本当に今日はありがとうございます。大先輩の三船さんの賞をもらえるというのは本当にうれしいです。心の中に常に葛藤があり、そういう中で、僕はお会いしたことはないですが、心の中で何度か三船さんに尋ねたことがあります。僕の勝手な思いですが、三船さんに答えていただいて、それで納得していました。こうして三船さんの賞をいただいて、本当にうれしいです。これからも三船さんのような俳優を目指して頑張ります。本当にうれしいです! 最高です!」と喜びを爆発させました。

奥山さんも「おめでとうございます。個人的『チームオクヤマ』の第一作を随分前に引き受けてくれて、初日がたまたま12月4日、私の誕生日で。私は忘れていたのですが、舞台挨拶の時に「奥山さん、誕生日おめでとうございます」と言ってくれて以来、勝手に家族だと思っています。こんなに大きくなっちゃって…。本当におめでとうございます!」と感慨深く受賞を称えられました。

『京都国際映画祭』の架け橋ガールと架け橋ボーイも呼び込みました。今くるよ、清水圭の登場です。「どやさです。能舞台で私も感動しています!」とくるよ。「能舞台に立つから」とリボンをつけてきた白足袋も披露しました。清水も「オープニングセレモニーを見させてもらって、こんなに素晴らしい景色、美しさはないと思いました。架け橋ガール、架け橋ボーイとして、ヨーロッパやアメリカの方に、オープニングセレモニーの様子をぜひ配信してもらいたいと思います。『京都国際映画祭』を世界に向けて、ヨーロッパの遠征も行かせていただきたい!」と声を弾ませました。初回から『京都国際映画祭』に携わっている清水は「映画もアートも本当に素晴らしい。もっともっと皆さんに知ってもらい、京都の皆さんには“国際映画祭の時期やな”と話題になるよう、もっと働きかけていきたいと思います」と気合を入れました。

開催のお祝いに駆けつけた西川きよし、桂文枝も登壇しました。

「西本願寺の能舞台に立たせてもらうとは夢にも思いませんでした。若いころから花月の舞台に出させてもらって…」と興奮気味のきよし。選挙中とは思えない静けさだという文枝の発言に「そんなん言うたら思い出します」と初の選挙活動で失敗したエピソードを披露しました。昭和41年に横山やすしと京都花月で初舞台を踏んだきよし。当時、映画に出たいと切望し、出演がかなったものの「映画館に観に行くと、名前でだけで全部カットされていました。さみしかった~! それがまず京都の思い出です。また、家内が京都出身で、京都にはたくさんのご縁をいただいています。こうして能舞台に立たせてもらうのは夢のよう、これからも初心も忘れず、小さなことからコツコツと頑張ります!」と挨拶しました。

「初めての映画は東映に出せてもらいました。朝早くに京都の撮影所に行くのですが“送っていったるわ”と車に乗せてくれたのが横山やすしさんで。ビューっと、猛スピードを出して。後で知ったら免許を持っておられなかったんですよ!」と文枝、今だから言えるエピソードを明かしました。

続けて「アンバサダーの岩下志麻さんは、1カ月前からWOWOWで『極道の妻たち』をやっていて、かっこよかったですね。今日も能舞台に出て来られる姿が、姿勢がよろしいな。その映画に出ていたのが月亭八方さん。ラブシーンをされていました。うまかったのは津川雅彦さんでしたね」と振り返りつつ、「『京都国際映画祭』を我々よしもとで盛り上げてまいりましょう!」と呼びかけました。

最後は、株式会社きょうのよしもと代表取締役社長木村深雪よりご挨拶をさせていただきました。

「回を重ねるごとに少しずつ京都の皆様とご一緒きる幅が広がり、『映画もアートもその他も全部』、楽しい映画祭にしたいと私たちの志もご理解、応援いただけるようになってきました。そのご期待を肌で感じるごとに、皆様とともに歩み、皆様とともに育てていただく映画祭だと身が引き締まる思いです。西本願寺様は明治時代に無声映画の上映を行っておられまして、このような新たな試みも受け入れてくださいました。和顔愛語、優しい言葉で和やかなお顔で暮らすという幸せを掲げておられます。私たちの映画祭も映画やアートにあふれ出てくる表現を通じて、参加される皆様が和やかで明るく、楽しいお顔になっていただけることが一番の喜びと考えています。本日より4日間、『映画もアートもその他も全部』、京都ともに楽しんでいきたいと思います。よろしくお願いします」。

「たくさんの方に楽しんでもらえるよう祈っています」と藤井。「中島監督の“カット”の声がかかるまでは回りっぱなし。京都は春夏秋冬行って、初めて京都に行ったと言っておくれやすと言われます。秋は『京都国際映画祭』で楽しんでいただきたいと思います!」という木村の締めの挨拶で、2017年の『京都国際映画祭』が開幕しました。

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