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イオンシネマ京都桂川にて「LIFE/GOOD YEAR」の舞台挨拶。「現地に行き、言葉が出なかった。」その思いとは。

2017年10月15日(日) レポート

10月15日(日)にイオンシネマ京都桂川では、「LIFE/GOOD YEAR」上映後、舞台挨拶が行われました。

まずは司会のお~い!久馬が登場。「考えさせられる作品でしたね。」と一言。そして監督の林海象さんと俳優の堀内正美さんが登場されました。
この作品は、林海象さんが連作している自主制作映画で、福島第一原発20㎞圏内の避難地区に住み続けた1人の老人の孤独死。その遺品回収に主人公の男が向かい、そしてそこで男が目にする現実を描いた作品、“LIFE”と山形の廃工場の水槽の側で、クリスマスのある夜、1人の女が現れる。家族を捨て、東京を捨て、すべてを捨てた女。林監督、新天地、山形で生み出す“GOOD YEAR“の2作品が上映されました。

「2010年から毎年撮っている短編のシリーズで、最初“GOOD YEAR”を撮ったんです。それだけだったんですけど、永瀬さんの提案で連作にしたらどうですか。とのアイディアを言ってくれたので、“GOOD YEAR”、“LIFE”とあともう一本“BOLT”というものがありまして、そういう形で始まった。」と作品を作るきっかけとなったエピソードを林監督は教えてくれました。『永瀬さんも堀内さんも信頼できる俳優さんで、出ていただいております。』と主演の永瀬正敏さんや堀内さんのキャスティング理由も。

林監督とカメラマンと少数のスタッフは実際に福島の現地に行ったとのこと。「放射能があるのかないのか、長くいると分からなくなる。危険な感じがしなくなって、よくない。見えない、感じられない恐怖というものを放射能に色をつけてみようと思い、今回つけてみた。」とのこと。「見えないものに対して、すごい恐怖がある。」と堀内さんも。「なにがいい、なにがいけないか、ではなくてさまざまな感じ方をする、という空気感が作品の中で表れたんじゃないかな、」と作品に対しても思いも語られました。
「実際に福島から非難されている方や阪神淡路大震災を経験された方、若くてそういう経験が一切ない方たちなど、社会のさまざまな視点で生きている方々になにか感じていただけたら。」と堀内さん。「すぐやることはできなくて調べたりとか、自分なりの表現としてできることをやっている。」と林監督。「“語らうこと”が大切。感じたことをみんなで意見を出し合ってもらえたら。」とお客さんに呼び掛けていました。

「あまりセリフがないのが林監督の特徴」という堀内さん。「セリフが少ないというのは想像できる部分があるのでいい。映像で感じてもらえたら。」と林監督。「1枚の絵だと思って全部のカットを考えている。動いてる絵だという風に考えてるんで、(セリフが)少なくとも大丈夫かな、と思っている。」とセリフの少ない作品の理由を明かしました。

「取材していく中で、また演じていく中で何か感じたことはありますか。」との問いに「それはものすごい悲劇ですよ。人が一人もいない。家はあるけど。この間まで生活してたのに放射能という人間が作り出したものによってすべてが奪われてしまった。言葉が出なかったですね。描けるかどうかは分からないですけど反対、賛成とかじゃなくて、その状況というものを理解して生きていくしかない思うんですよね。まず生きていないとなにも反対も賛成もないと思うんで。それを描きたかったんです。」と林監督。「永瀬くんの最後のセリフに凝縮されています。」と堀内さんも。「とにかく生きるということがないとすべてがはじまらないんじゃないかな。そのセリフを永瀬さんに言ってもらいました。割とセリフはストレートですね。」と最後のセリフにとくにこだわりをみせました。

「もう一本“BOLT”という作品では福島原発の中に入るので、この3作品で一本の長編作品になるので、来年くらいにどこかでみなさんに観ていただきたいなと思っています。」と最後、林監督のコメントをいただき、舞台挨拶を終えました。

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